博報堂生活総合研究所の「誇りに思うランキング」で、10年前にはベスト15にも入っていなかった「食文化」が5位に登場した背景は、和食の価値が世界標準に
なったことと無縁ではないはずです。
それは、日本の工業製品の価値が世界に認められてきた経緯同様、日本の伝統文化の美しさと細やかな気遣いという精神文化に基づいているように思えます。製品を使う人の身になって工夫と改善を重ねてきた結果、かゆいところにまで手が届くような素晴らしく使い勝手の良い上品質の製品が生まれ、多くのユーザーの絶賛を浴びるようになりました。かつては“モノマネ”と蔑まれ、安かろう悪かろうの代表格であった日本製品が大きな価値を生み出したのです。
歯科医療の上質性もまた同じ角度から論じられるのではないでしょうか。より繊細な技術力によって“純度の高い美しさ”を実現させる。更にはそれら技術領域だけに留まらず、顧客に対する細やかな気遣いや思いやりといった“温かさの価値”を付加することで、歯科医療の上質化は実現していくのだと思います。
今月号は、歯科医療の上質化への原点には日本の伝統文化が存在しているのではないかとの投げかけと上質化戦略にはヒト・モノ・システム三位一体の改善が求められること、そしてなによりも医療人としての純粋な献身という姿勢こそが重要であると説いているところ、それが今月号の読みどころです。
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