歯科医院は、その本質を形成する科学性からして技術の機械への依存度は高く、価値の創造も『機械技』の進歩
によるところが大であるが、機械の進歩にだけ頼る手法での運営では『価値ある歯科医療』を求める人たちの心
を動かすことはできない。ここが、合理的価値に対する納得性だけでは人は動かない、感情的価値による動機付
けの重要性が問われるところ、すなわち『人間業』が発揮される場面であろう。例えば、受付業務の機械化は歯
科医療の本質的な部分ではないが、来院者の気持ちを動かすか否かという点においては極めて大きな影響力を持
っている。機械化による業務負担の軽減を受付担当者の数を減らすという方向ではなく、別の動きに転用するこ
とを考えるべきだ。何故なら受診者が電話や来院を通して最初に出会う歯科医院の人間である受付担当者は、来
院者の感情価値を高める上で極めて重要な第一印象を担っているからだ。正確な『機械技』と好ましい『人間業』
が融合した新しい受付の在り方こそ、AIの進化を効果的に活用する歯科医院運営上のモデルとなる。機械技によ
る精度の追求と併せ人間業による深みの味付けの重要性を述べているところが245号の読み処です。
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