歯科医院の過剰が喧伝され始めてから歯科界には差異化競争の波が押し寄せ、ヒト・モノ・システムの上質化が
進んだ結果“清潔で感じの良い歯科医院”が数多く現れるようになったた。HPもよく似たPR手法がとられ、
あらゆる点で似通った標準化現象が起きている。この標準化された価値とは、誰もが良し悪しを客観的に判断
できる『合理的価値』だが、それとは別に顧客個人々々がその医院での様々な経験を通して感じる「好き嫌い」
といった感情的な価値の存在がある。その感情的価値の大きさが標準化された合理的価値に加わることで
最終的な『顧客の受取価値』が大きなものとなる。最近世の中の変革を一気に推し進めるかのようなAI技術の
発達は、人間の行うあらゆる業務の省力化や時間短縮を実現しているが、多様な人間の感情価値を高める上で
省力化や時間短縮は効果を発揮するのだろうか?それぞれの医療人が複雑な状況下で様々な患者とのやりとりを
通じて相手の感情的価値を高めた経験は貴重であり有効であろう。AIを活用することで正確で速い処理が可能と
なるのは人間の省力化が目的ではなく、より人間的な動きの幅を拡大することであると訴えているところが
244号の読みどころです。
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