全軍特攻が当たり前となっていた戦争末期、敢然として特攻を拒否、戦爆連合による夜襲部隊を結成し、大きな
成果を挙げた海軍の航空部隊があった。鹿児島県岩川を基地とした美濃部正少佐率いる芙蓉部隊。その岩川で地
下基地建設に勤労学徒として従事していた一人の中学生が、戦後建築家の道を歩み国土の復興に尽力、芙蓉部隊
の勇姿と功績を歯科医師として活躍中の令息に伝承。歯科医師は亡父の遺志を果たそうと芙蓉博物館を建設した。
その開館式に出席した長崎の歯科医師は、現地情報に明るい歯科協力企業のセミナーで聴いたウクライナにおける
歯科事情を所属する歯科医師会の会報に寄稿。破壊や停電にもめげず、自家発電のヘッドライトで診療する姿に
感動したとき、父親が遺した言葉を思い出す。「歯科医療を行うのは世界平和のため」。芙蓉博物館開館の挨拶に
「日本を継承する子供たちに、他人をいじめたり攻撃したりして他人を下げるのではなく、自分に誇りを持って
自分が上がるように生きて行ってほしい」とある。これもまた世界平和を希求する歯科医師の気持ちである。
歯科医療は世界平和に向けての精神で道を拓いてほしいと結んでいるところが246号の読みどころです。
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