歯科医院は民間の一事業体であるにも拘らず、殆どの歯科医院は公的保険制度下での様々な規制の中で、診療行為の金額まで決められるという極めて不自由な経営を行っています。少子高齢化が著しく進む中で限りある財源問題と歯科医院の増加問題に対峙しなければならない歯科医院経営者は、このどうにもならない逆境を如何にして乗り越え、成功街道へ入って行けば良いのでしょうか。第185号では、もう20年も繰り返し議論されてきたこの問題に取り組んでいます。従来のデンタルマーケティングは一定の狭い範囲内での競合状況と人口分布、それに保険診療受診率を掛け合わせて算出する「来患数」なるものを基に収益見通しを立てて来ましたが、185号ではそもそも患者ばかりを対象にしていることから脱却する必要を説いています。
また、患者数の見込みを頼りに、統計的に算出されている平均的な歯科医院経営数値である1回当りの保険診療単価や平均的な自費率と自費単価、さらには会計資料からの各費用の支弁割合によって開業計画の正否を見通しても正しい結論は得られないとしています。歯科医院を歯の修理工場としてみなして来た保険診療制度に立脚しない新しい価値の創造を目指さなければ、成功街道への入り口は見えてこないと論じているところが読みどころとなっています。 |