待合室という空間には、安心、期待、希望といった前向きの感情と、疑念、不満、不安といった後ろ向きの感情など様々な受診者の気持ちが充満している。その感情の発生源は大半が診療室だ。その日の治療を計画どおり実施する診療担当者は、決められた時間内で技術を発揮し、予定どおりに終えなくてはならない。受診者の気持ちに最大限の注意を払いながらベストを尽くしても人間の感情は複雑だ。思いもよらぬ不信や不満を与えてしまうことは当然に起き得る。そこをフォローできる人財が、機械にマニュアルワークを譲ったA級受付なのだ。一人ひとりの受診者と心の距離感を縮めることのできるA級受付ならば、必ず独自の手法でそれを見事にこなしていくことができるだろう。その時、A級受付はAA級受付と同等の能力を持ったフロアマネジャ
ー的な存在へと昇り、単なる一業務の“担当者”ではなく、その歯科医院を輝かす“当事者”となる。前号で取り上げた「情報収集・分析・データ集積の必要性」を受け継ぎ、院内に多彩なナレッジワーカーを出提させる突破口に受付業務のデジタル化を持ってきて論じているところが229号の読みどころです。 |