雇用者と被雇用者という表現を使う場合、歯科医院においては院長が雇用者でありスタッフは被雇用者となるのが一般的な解釈ではあるが、もう一つ枠組みを拡大して歯科医院という組織が雇用者であるとするならば、院長自身もスタッフ同様被雇用者の立場となる。 寧ろ院長自身が最大の勤労者としての立場にある歯科医院においては、そのような考え方の方が適正であるとも言え、被雇用者が持つべき能力としてのエンプロイアビリティは院長にも適用される。
エンプロイアビリティの核は組織を円滑に運営していく上で雇用者が期待する能力であるならば、院長に求められる第一は「今のスタッフの力を伸ばし共に頑張る能力」である。そのためには「スタッフの雇用を守る」ことだが、コロナ禍はそれを破壊する危機をもたらした。平時においては気付かなかったこの重要な使命をコロナ禍が気づかせてくれたとも言える。
院長の使命感に応えるスタッフの熱い思いもまたエンプロイアビリティであるが、全国の歯科医院で沸き起こっている新たな気付きと改善への動きこそピンチをチャンスに変えるものであるが、その熱と情を生の声で伝えているところが211号の読みどころです。
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